フリーランスの自由で主体的な働き方に、憧れを抱く社会人は多いでしょう。しかし会社勤めという安定した身分を捨てて、フリーランスになると直面することになる厳しい現実までは、想像しにくいようです。すなわち個人事業の創業者の約4割が、開業1年を経ずして挫折しており、5年後には4分の1に、そして10年後には1割にまで減ってしまうというのが実情なのです。しかしこれだけ厳しい環境の中で、フリーランスとして10年後まで生き残っている人には、いくつかの特徴が見られます。
フリーランスとして選ばれ続ける人の目立つ特徴として、仕事の質に妥協しないということが挙げられます。プロであれば、予算内で納期までに期待される水準で仕事を完成させるのは当然ですが、自分自身の基準が高く、更に高い基準を目指そうとするのです。そのため顧客は絶大な信頼を寄せるようになり、一度そのような取引先を獲得すると、末永く良好な信頼関係を築くことができるのです。また同種の仕事ばかりではなく、常に新しい技術や新しい知識に興味を持っており、目の前の仕事に限らず、数年先を見据えて研究を怠らないのも特徴です。
もっともフリーランスである以上、仕事に波があるのは致し方ないことであり、経済情勢など業界を取り巻く環境の変化といった、予測しえない事態に遭遇しても、最悪の結果を免れるよう常に準備しています。たとえ安定的な取引先を獲得していて、仕事が順調に増えている時であっても、新規顧客を開拓する戦略を練ったり、市場の動向を分析するための時間を敢えて確保します。
もっとも仕事が急激に増える時は、仕事を処理するスピードが追い付かず、却って顧客の信頼を失うことにもなりかねないので、要注意です。フリーランスは受注した仕事に関しては、基本的に自分一人が全面的に責任を負うのであり、代わりの者はいないのです。将来の不安からスケジュールに目一杯仕事の予定を詰め込んでしまい、結果として体調を崩したり、トラブルを招くということもありがちな失敗なのです。フリーランスが一度信頼を失うと、顧客を取り戻すのは容易なことではありません。コツコツと長年築いてきた信頼関係であっても、ほんの小さなミスをきっかけに、いともあっけなく崩れ去るものなのです。
また会社勤めの身であれば、自分が任される仕事にだけ集中していれば良いのですが、フリーランスは雑務も含めて、一切合財を自分でするのが原則です。もちろん懐具合によっては人を雇えば済むことですが、少なくとも金銭管理を他人任せにしないということは大切であり、任せるにしても監督できるだけの基礎知識は必要です。
エンジニアとして充実したキャリアを築くには、企業選びが重要です。自身のスキルに見合った給与・待遇はもちろん、研修やセミナーが充実しているかなども確認しておきましょう。自分が希望する仕事がある場合、その分野で活躍できる企業を探すことが大切です。また、自分が共感できる理念をもつ企業もおすすめです。共感できる理念を持つ企業で働くことは、成果を上げるだけではなく、仕事のやりがいに繋がり、より良いエンジニアライフを実現できるでしょう。
エンジニアにはこれまで以上の活躍の場が広がっており、その一方で高度で専門的なスキルや知識を求められるようになっています。市場で価値のあるエンジニアが稼ぐエンジニアということになりますが、その特徴として、幅広い知識や興味を持っているために引き出しが多いこと、そして学習能力が高くて未知のことにも挑戦するということが挙げられます。あるいはコミュニケーションスキルが高く、人をまとめることができたり、優れたビジネス感覚を発揮して、エンジニアならではの企画を立案し、提案できるのです。
稼ぐフリーランスになるためには、準備が肝心です。退職前にはあらかじめ退職後の生活費や事業資金を貯蓄し、同時に人脈を広げておきます。退職の申し出は、原則として1か月前でよく、退職後に税務署に「開業届」を提出します。売り込みのためのメールアドレスやホームページや名刺を作って、顧客獲得に向けて動きます。人づてに紹介を受けるのが従来通りのやり方ですが、最近はクラウドソーシングによって仕事を獲得する方法も普及しています。
進化し続けるIT業界で市場価値を高め、需要の高い人材であり続けるためには、セミナーへの参加やオンラインでの学習を行い、常に自身のスキルをアップデートすることが大切です。また、様々なコミュニティに積極的に参加し、情報交換や人脈形成を図りましょう。自己管理能力も求められるため、ワークライフバランスを意識し、休息や趣味の時間を確保することも大切です。無理のないスケジュール管理でフリーランスのメリットを最大限に活かし、豊かなエンジニアライフを送りましょう。
フリーランスの生存率が、開業10年で1割という厳しい現状の中にあって、それでも生き残るフリーランスには、共通した特徴が見られます。それは高い基準を定めて仕事の質に妥協せず、顧客の満足度が高いということです。また事業が順調であっても、次の布石として新たな顧客開拓の策を練る一方で、無理な事業拡大を慎み、身の丈に合った経営を維持します。そして金銭は自分が責任を持って管理するなど、安易に他人任せにしないのです。
社会のIT化が進んで、エンジニアの活躍の場が更に広がったことにより、目指すべきキャリアアップが多様化しています。もちろんより専門特化したスキルや知識を極めてスペシャリストになる道もありますし、従来通りのプロジェクトマネージャを目指す道もあります。もっとも低予算で短期化しているプロジェクトの成功は、増々難しくなっています。またコンサルタントとして事業を企画立案する、あるいはITアーキテクトとしてシステム化の設計を手掛ける道もあります。
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